校庭に置いてきたポニーテールの頃
「ねえ、宮西はタイムカプセルに何を入れたの?」

「何を入れるか迷って……結局、自分宛に手紙を書いたんだ」


この時は大嶋から札幌進学のことを聞かされた直後だった。

自分宛に手紙を書いたが、心の中ではそれどころではなくて、意味不明なことを書いていたと思う。

できれば15年後もあまり開けたくはない。


「実は宮西にお願いがあってさ」

「お願い?」


「もしかしたら30歳になっても、俺のところにはタイムカプセルの連絡がこないかもしれない。

その時は宮西が俺のタイムカプセルを持っててくれないか?」


「何が入っているの?」

「うん、大事なもの」


「そんな大切なもの、私が持っててもいいの?」

「お前にじゃなきゃ頼めないんだ」

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