校庭に置いてきたポニーテールの頃
「……ていうか違うんだ。俺が宮西に話したいことって、そんなことじゃないんだよね」


いよいよ来る……普段見ることのない大嶋の切なげな表情にドキッとしてしまう。

ここに来てようやく落ち着いた胸の鼓動が、再び大きな音を立てる。


私は息を止めていた。すこし間が空いた後に、深く呼吸をしてから彼はゆっくりと言った。


「俺、宮西が好きです」


あれほど望んでいた彼の告白なのに、今はとても胸が苦しくなる。痛くて痛くて、もう我慢ができない。

思わず両手で口元を覆うと、今度は涙が出そうになる。


お願い、札幌になんか行かないで……


何度も失恋の経験はしてるけど、大嶋がいなくなったら、私は今度こそ立ち直れないよ。

< 333 / 345 >

この作品をシェア

pagetop