校庭に置いてきたポニーテールの頃
名前を見つけるのには相当な時間もかかるだろう。そもそも異動がなければここに名前は載っていないのだから。

もしも大嶋が転勤だったらどうしよう。嫌われたまま終わってしまうのはイヤだ。


……違うよね。こんなことしている場合じゃない。

だって、もしも大嶋に異動がなければ?多分、安心して終わるだけ。今までと何も変わらない。


私はそこでようやく気がついた。頭の中であれこれ悩んでいることに、全く意味がないことを。


大嶋に転勤があろうがなかろうが関係ない。

たまたま今が『いなくなるかも』って思いで切羽詰まっているけど、本当は既に遅いのだ。


ずっと会いたくて仕方がなかった。一度嫌われてしまった大嶋に、なんて言えば仲直りできるか、そんなことばかり考えていた。


大嶋が私に求めていることは、そんなことではなかったはずだ。

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