校庭に置いてきたポニーテールの頃
時計を見たら午後の八時だった。今日は金曜日だし、ひょっとしたら飲みに出ているかもしれない。

今、連絡しても繋がらないかも。


……ほら、またすぐにこうして余計なことを考える。駄目だったら駄目でいいじゃん!


私は勢いで、ラインから大嶋のプロフィールを開く。そしてそのまま通話ボタンを押した。

受話器の向こうでコール音が鳴る。もう後戻りはできなかった。


『よう。どうした?宮西』


その声を聞くだけで胸が詰まりそうになる。


「大嶋、会いたいよ。ずっと会いたくてたまんなかった」

『……間違えて通話ボタン押したのか?』


「今度は違う。もう一度、初めからやり直したい」


心臓の音が止まらない。胸に手を当てて深呼吸をする。

< 341 / 345 >

この作品をシェア

pagetop