校庭に置いてきたポニーテールの頃
「……ていうか違うんだ。俺が宮西に話したいことって、そんなことじゃないんだよね」


ふいに見せる彼の切なげな表情にどきっとした。

いよいよ来るのかな……


ここに来てようやく落ち着いた胸の鼓動が、再び大きな音を立てる。


私は息を止めて、その瞬間を待った。


すこし間が空いた後に、深く呼吸をしてから彼はゆっくりと言った。


「俺、宮西が好きです」


覚悟はしていたはずなのに、いざ彼の口から想いを告げられると、胸の奥から熱いものが込み上げてくるのを感じる。

思わず両手で口元を覆うと、今度は目頭が熱くなった。


彼がいなくなってしまうなんて嫌だ……

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