校庭に置いてきたポニーテールの頃
ヒロが離れてからも私の左肘の少し上の部分には、彼の感触が温かく残っていた。

「で、宮西は?」

「……え?あ、ああ」


ぼんやりしていたことにふと気がつき、焦って机の中から答案を出してヒロに見せる。


「うわ、合計で負けた!」

「やるじゃんあっか、何点差だったの?」


さっきヒロに点数を見せてもらっていたのに、腕ばかりに集中してしまった私はその点数を覚えていなかった。


「3点差!めっちゃ悔しい!」

ヒロがすぐに答えてくれたおかげで、私は彼の点数が91点であることを今更知った。


この後、帰りのホームルームで成績表を渡されて結局私はクラスで2位だった。

さっきまではあれだけこだわってた順位なのに、それがどうでもいいことのように思えたのはなぜだったんだろう。


意味はないが、ヒロが今どんな表情をしているのかが急に気になってしまった。

きっと私の事を考えて悔しく思っているのかな。私はその表情を見てみたいと思ったのだ。


だけど今後ろを振り向くと、きっとヒロと目が合ってしまう気がして、私は振り向くことができなかった。

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