校庭に置いてきたポニーテールの頃
彼と同じ教室で過ごしたのはたったの二年間。

自分の気持ちよりも先に、彼の気持ちに気がついた。


偶然目が合うと、身体中に勢い良く電流が走るような感覚に驚いて、慌ててすぐに目を逸らす。

彼とした会話のひとつひとつを頭の中で思い出すように、何度も何度も繰り返していた。


そして彼がいなくなると知った日……


学校にいる間はずっと涙をこらえて、友達にはいつものように振る舞った。

夜は家族に気づかれないように、布団の中で声を殺して泣いた。


こうして彼は、知らない間に私の胸の中にたくさんの足跡を残していったのだ。


今の瞬間に、そのすべてがぶわっと胸の中で波となって押し寄せてくる。


切なさに足元から崩れてしまいそうになった。

ぐっと両方の足に力を入れて、ぎりぎりのところでどうにかこらえていた。

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