校庭に置いてきたポニーテールの頃
「……宮西?行くぞ」

ヒロに名前を呼ばれて、ようやく意識が戻る。

ヒロと大嶋でスケッチブックを半分ずつ抱えて、美術室を出ようとしていたところだ。


廊下に出てから渡り廊下に向かう足も重たかった。二人の背中に引っ張られるように、ただのろのろとついていくだけ。

頭の中では何を考えていいのかわからない状態だ。


「びっくりしたよな……旧校舎ってカップルの溜まり場だったんだな」


「さっきのってサッカー部の澤田って奴だよな。あいつらももうやったりとかしてんのかな」


その言葉にぴたりと足が止まってしまった。

考えたくないのに、頭の中ではどんどんと嫌な想像が膨らんでいく。

< 72 / 345 >

この作品をシェア

pagetop