校庭に置いてきたポニーテールの頃
「……いなくなるやつから急に告られたって、なんて言っていいのかわからないよな」


とにかく胸がいっぱいで、自分の想いをうまく言葉にすることができない。

彼とこれからどうなりたいのかだって、わからなかったのだ。


言葉のかわりに溢れ出てくるのは涙だけ。

この涙のせいで彼が困っているのもわかっているのに、もう泣き止むことができない。


「……ごめん、さっきのは忘れていいよ。

あんまり泣くと明日の卒業式で泣けなくなるだろ」


そう言った彼の顔もつらそうで、言葉にできない代わりに私はぶんぶんと首を横に振る。


早く、早く何か言わないと。

このまま彼が行ってしまってもいいの?

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