幕末を駆けた桜



『……そういう訳で、近藤さん。
明日、宴の前に坂本と会ってきます』


それが終われば直ぐに宴へと向かいますので…と付け加え、一礼をする。


いつもとは違う丁寧な僕の言動と態度に、何とか慣れたらしい土方と沖田は、初めて見た時結構長い間文句を言われ続けた。



『そうか。

歳と総司が付いているのなら心配はいらん。
芹沢さんの気が変わらぬうちに、早急に戻ってきてくれ』



『……了解致しました』



芹沢さんの気が変わらぬうちに…か。


もって30分。
坂本と話すのは、30分だ。


あいつは、一体なんの為に僕に会おうとしているのか分からんが、ここに度々来ているということは何か言いたいことが有るんだろう。



……って。


あいつ、僕に島原で…って言ったクセに、結構な頻度ここに来ているよな?

勿論、会ってはいないが。


まさか、島原でしか会うことがないと分かっていた…とか?



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