幕末を駆けた桜
そう簡単に敵からもらった物を受け取るなんてどんだけ単純馬鹿なんだよ。
『良いか?
それは、土方の詩が書いてあるんだよ。
まぁ…下手だが』
『下手なのか?』
興味津々で中をめくり始めた坂本に、顔の血が引いて行くのを感じて、段々と坂本から後ずさり距離をとる。
この状況で見つかってみろ。
僕にどんな被害があるかわかった物じゃ無い。
『おい、真白』
『ヒッ…!』
突然かけられた声に、思わず口から変な声が漏れて慌てて口を押さえる。
この声は、絶対土方だ。
それも、結構怒ってる時の声…‼︎
『僕は何も知らない…何も見てない』
『お前、何言ってるんだ』
フンっと鼻で笑った土方に苦笑いを向け、土方が来た方向に走って逃げる。
後ろから、土方の怒鳴り声と坂本の悲鳴が聞こえた気がするが。
まぁ、気のせいだろう。