幕末を駆けた桜
『今の状態の…いや、これからの幕府では、到底長州に勝つ事が出来ない』
『幕府は、鎖国の為外国諸国の状況を知らなすぎる。
対して長州は、外国との力の差を感じ、このままではダメだと動いている』
坂本の話を遮らず、土方も近藤さんも黙って真剣に聞いている。
…これは、いけるかもしれない。
坂本が言っている事は正しい。
だが、彼らからすれば、坂本が言っている事は幕府を落とすと言う事であり。
幕府のため、京の街を守るという彼らの誠とは随分異なっている。
それを、彼らがどう取るか。
これで、新撰組の未来が決まる。
『あんたらの力は結構や戦力になる。
薩摩の方も、外国との戦いの際攘夷することに疑念を抱き始め。
長州との和睦を結ぼうとする動きがみられている』
『それはもちろん、俺がいる土佐でも同じ動きだ。
土佐は、薩摩と長州を結びつけ、さらに肥前を加えて幕府に立ち向かうつもりでいる』
……ここは史実通り。
薩長土肥。
誰もが一度は聞いたことのある単語だろうが。
だが、時期が早い。
まだ壬生浪士組は新撰組にもなっていない。
その上、池田屋も、禁門の変すらもまだの状況であると言うのに。
すでに薩摩が幕府を見捨て、長州と手を組もうとしているとは。
これは良い情報が入った。
事が起こる前に、近藤さんを説得して壬生浪士組を会津藩お預かりから外さなければ。