幕末を駆けた桜
拉致
結局、近藤さんの下した決断はまだ幕府にかけてみると言うものだった。
……ここで落ちなかったのは結構痛いが、確実に揺らいだはずだ。
1人縁側に腰掛けながら、坂本を返すときに頭を下げた近藤さんの姿を思い出し返した。
どうしてそこまで、幕府に執着するのか。
……僕には到底理解できないが、それが近藤さんの誠なのかもしれない。
『気分転換に…甘味でも食べに行こう』
思い立ったら即行動。
自分の部屋へと戻り刀を手に持ってから、外出許可を得る為土方の部屋へと足を向けた。
『……土方、僕だ』
結局、あの話では一言も発しなかった土方だったが。
何も思っていたのか。
少し気になるが、今は外出許可だ。
『何か用か』
『ああ。気分転換に外に出たい。
ついでに、沖田の分の甘味も土産に買ってこうと思うんだが、土方もいるか?』
まぁ、甘味といったら沖田だし。
土産くらいは良いかな…なんて思ったから買うだけであり。
別に、土方の分は要らないんだけど。
『俺の分は別に良い。お前、そんな金無いだろう。
…沖田の分は買ってきてやれ』
『了解した』