幕末を駆けた桜
土方からの許可も出たし…甘味がてらに、何か情報収集でもしてみようか。
確か、今日昼の巡回組は斎藤の三番組だったよな?
斎藤は何かと気にかけてくれるが…見つかれば面倒だ。
巡回ルートは頭に入ってるし、とりあえずそこは避けながら回るしかない。
てか……行きたかった甘味屋、巡回ルートに入ってるじゃねえか。
でもなぁ…斎藤と会うよりは甘味を捨てた方が良さそうだ。
どうせ、甘味屋なんてそこら辺にもあるし。
この際だし、違う美味い店とか見つけてみようかな。
少し鼻歌交じりで、初の1人京の街を探検する事で浮かれていた僕は、背後から伸びてくる手に気づかなかった。
『真白君‼︎』
ワッ…と声をあげた後ろの人に、思わず肩がビクッと反応する。
……浮かれすぎてた。気づかなかったよ。
溜息まじりに振り返ると、何故が巡回ではないはずの沖田が後ろに居て首をかしげる。
それにしても、せっかく1人だったのに何でタイミングの悪い。
『今日は休みだから甘味を食べに行こうと思ってたら、真白君を見つけてね』
それで声をかけた、と。
沖田も甘味を食べにきたわけか。
『僕も、甘味屋探してたんだ。
どうせなら、お気に入りの店でも紹介してくれないか?』
このルートで行けば…甘味通の沖田が絶賛する甘味が巡回別途ルートで知ることが出来る。
『良いの?
じゃあ、遠慮なく回っていこう‼︎』
『沖田、ちょっと待てよ‼︎』
いきなり歩き出した沖田について行くため振り返った瞬間。
視界の端に、僕に伸ばされる手が見えた気がした。