幕末を駆けた桜
会った時はこんな感じだったしなー…なんて、呑気なことを言い始めた坂本は無視する事にする。
本当に今重要なのは、座敷に座ってる奴らだ。
座敷に座っているのは3人。
それも、皆どこかで見かけた様な顔……。
『お前が神楽真白か…?』
『……なぜ僕の名前を知っている?』
3人の中の1人の言葉にピクリと眉をあげてそう言うと、両手を上げてまるで無実だとでも言いたげな顔をした男に刀を向ける。
こいつは…敵……なのか?
『そう威嚇するな。
俺は、長州藩士の桂小五郎。
……名くらい、聞いた事有るだろう?』
ニヤリと口角を上げた奴の言葉に、思わず目を見開いた。
そうだ、この男達、最近土方の奴にこの顔を見たら捕まえて屯所まで引きずり込んでくれ…と言われて見せられた似顔絵に似ている。
という事は……。
『右から…高杉晋作、桂小五郎、伊藤博文…』
『御名答』
僕の言葉に、高杉晋作が薄っすらと笑いながらそう返した。