幕末を駆けた桜




『ふ……ははっ…!

中々面白い思考をしている様だな、逃げの桂さんは』



思わず溢れた笑いを隠すことなくそう言うと、釣られた様に高杉晋作と伊藤博文、坂本まで笑い声を上げた。



ただ1人、笑いのネタとされた桂小五郎は面白くなさそうだったが。



『だが…その願いは聞けないな。

どうせなら、お前らが自ら壬生浪士組屯所に出向いて、話をつけてきたらどうだ』



そうすればもしかすると話を聞いてくれるかもしれないし、それに、僕も土方に説教されなくて済むしな?


『僕は、坂本を見逃した事だけで限界なんだよ。

アレだけで土方と沖田の奴にこっ酷く絞られたのに、ワザワザまた説教されるほど馬鹿な行動は慎みたい』


もっと言えば、面倒臭い。

あの2人の相手ができるのは、多分この世に1人、近藤さんだけだと思うよ僕は。


『直接……か。

それはそれで…面白いかも知れぬ』


何かを企んだように考え込み始めた高杉晋作の隣で、面白そうに伊藤博文が口角を上げてそう言った。


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