幕末を駆けた桜
『さっき…高杉晋作、伊藤博文、桂小五郎に会った。
勿論、その場には坂本も』
『……高杉…って、まさか奇兵隊を率いる高杉晋作じゃ…!?』
『その、まさかだ』
僕の腕をつかむ手に力が入ったのを感じながらも、驚きで目を見開かせた沖田に肯定の意を示し頷きながらそう言った。
そんな僕に、少し混乱したらしい沖田は、何かをブツブツと呟きながら少しの間顔を俯かせた。
『詳しく、説明してくれるよね?』
『……ああ、どうせ、隠していてもバレるだろうからな』
素直に頷いて、さっき拉致られた時に起こった出来事や会話を沖田に詳しく説明した。
僕が説明している間、沖田は、土方さんに伝えるべきなのか…なんてことを考えていたらしく、少し顔を歪ませていた。
『それにしても、何で真白君を?』
『それは僕も知らない。
坂本はともかく、高杉晋作等にあったことなど生まれてこのかた一度もないからな』