幕末を駆けた桜
『近藤さん、もう僕等だけで突入しましょう』
早く斬り合いをしたいのか何なのか、キラッキラと目を輝かせてそう言った沖田に、近藤さんは考えながら頷いた。
『そうだな…そろそろ、歳も来る頃だろう。
我々で乗り込む。
総司、平助、新八、真白君は俺と一緒に中へ。
その他5名は外を固めてくれ』
初めて見た近藤さんの、局長としての表情に思わず息を呑み、皆と共に、大きく頷いた。
『行くぞ』
そう言った近藤さんについて走り、池田屋の入り口に近づき息を潜める。
中に入る組で顔を見合わせ、頷いたのを確認した近藤さんは、大きく音を立てて入り口を開けた。
『御用改めである!』
近藤さんの力強い言葉と共に、沖田、永倉、平助、僕の順番で中に突入する。
『お前ら…新選組か!!』
ちょうど一階にいた浪士達は、入ってきた僕らを見て抜刀した。
『おい、僕は二階に行く』
『こっちも、終わったらすぐに行く!』
一応沖田に一声かけ、二階へと駆け上がる。
……あ、平助に額当てをキツく結べと言うのを忘れていた。
まぁ、沖田が何とかしてくれるだろう。