幕末を駆けた桜




『僕に用…だと?』



相変わらず楽しそうに口角を上げる高杉晋作を睨み付けると、今まで口を開かなかった桂小五郎が僕を止める。



『今回の会議は、君をおびき寄せる為のもの』

『……何?』



『君には、我ら薩長同盟の繋ぎ役として、一役買ってもらう』



桂小五郎の言っている意味を理解しようと、フル回転で頭を動かす。


僕をおびき寄せる為…?

一役買ってもらう…ってまさか…っ。



『僕を、拉致する気とか言わないだろうな?』


『ご名答。流石、新撰組一の刺客』



アッサリと肯定した桂小五郎に驚いて目を見開くと、隣の部屋で刀がぶつかり合うような金属音が響く。


……沖田か…!



『時間もない。稔麿を敗れるとは思はぬが、早く撤退するに越したことはないからな』



だから、何だよ?
僕が、いくら味方について欲しいからって素直について行くとでも?




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