幕末を駆けた桜
あー、こりゃあ…また超面倒な事に巻き込まれたな。
『面倒って顔するな。
ほら、早くいくぞ』
『たく…今頃、屯所大騒ぎだろ』
『その辺りは勿論想定内だ』
うわ…何坂本のくせに作戦っぽい事立てちゃってるんだか。
お前はいつまでもバカだろ。
いや、一応これでも薩摩と長州を結びつけるくらいの力量はあるのか。
にしても…まさか、池田屋に西郷隆盛がいるとは。
こいつもこいつだ。
わざわざ奇襲作戦かけて来やがって。
後で後悔させてやろう。
『……お前、顔が黒い』
『失礼だな』
苦笑いを浮かべた坂本に、ニヤリと笑ってみせる。
黒くて結構。
別に、隠そうともしてねえしな。
……にしても、何故僕が薩長同盟の仲介をしなければいけない?
一役買えと言われても、ここには、本来一役買ったであろう坂本龍馬がいるのだ。
わざわざ危険を冒して池田屋で会議を開き、僕を拉致した理由が分からない。