幕末を駆けた桜
それが分かるまで、たとえ坂本達といえど警戒しないわけにはいかないな。
どこまで行こうと、仲良くなろうと、所詮は平行線。
僕達は敵同士だからな…。
早く近藤さんを説得しておけば拉致られることもなかったかもしれない。
……沖田の奴、僕が消える時名前呼んでくれた気がしたけど、怪我とかしなかったのか?
それにしても、あいつが二階に上がってくる時間もなかなか早かったような気がする。
……平助と原田さんは無傷で屯所へ帰れたのだろうか。
山南さんはきっと、屯所に傷1つつけず完璧に守り通してくれたはずだ。
それに、山南さんの所にはあの人も置いておいたしな。
『何か、良いことでもあったのか?』
『いい事? どっかの誰かに拉致られてるって言うのに、良い事なんてあるわけ無いだろう』
坂本の問いかけにわざと棘を含ませて返答する。
僕の言葉に苦笑いしながら謝った坂本は、何かを思いついた様に声をあげた。
『そういや、屯所の方に武器回収しに行ったんだが…、屯所に待機していた奴らに、返り討ちにあったみたいなんだよな』