幕末を駆けた桜
それにしても、伊東が何か仕掛けてきても伊東のミスで確実に土方はこちらの味方になるはず。
新撰組内の争いごとに置いて、土方と鴨さんを味方に手に入れることは勝利と言っても過言ではない。
さぁ、伊東甲子太郎。
僕は、全力でお前を、危険分子であるお前を新撰組から追い出す。
お前は、一体僕にどんな手を使ってくる?
『では、私はこれで失礼するわ』
伊東が土方の部屋をでたのを確認して、口元に弧を描く。
土方が、僕のそれに気づいて、顔を引きつらせながら笑みを浮かべた。
『お前は、あいつを追い出すんだろ?』
『流石土方。
その答えが浮かんだと言うことは、山南さんを移動させた理由も分かったということで良いな?』
表情から笑みを消し、真剣な目で土方の姿を捉える。
山南さんが移動した答え。
僕が、山南さんを移動させた答え。
それさえ分かれば、今回登の考えはすぐに勘付けるはず。
土方ならな。
その読みが当たったのか、同じように僕を見据えた土方は、今度こそ、本物の笑みを浮かべて頷いてみせた。
『山南さんを戻す為に、伊東を此処から追い出す。
協力してくれるか?』
『ああ。初めて、お前の考えが分かった気がする』
密かに、誰も気づかぬうちに、土方と僕の同盟が組まれた。