幕末を駆けた桜
『コレが新撰組の参謀?
山南を差し置いて参謀なんて、ふざけるのも大概にしろよ、お前』
どうやら山南さんを気に入ったらしい新見さんが、伊東を睨みつけてそう言った。
この3人の組み合わせは、異様だったらしい。
それに加え、鴨さんは酒を持っておらず、新見さんは前川邸側の山南さんを庇う発言をしたんだ。
まぁ、驚かないのも無理はない。
『なぜ八木邸側の2人がここに…‼︎』
自分が窮地に追い込まれていることを察した伊東が、立ち上がって僕にそう叫ぶように訴えかける。
なぜって言われても、な。
『鴨さんも新見さんも、僕らと同じ新撰組だ。
ここにいることの何がおかしい?』
ニヤリと口角を上げ、勝ち誇ったように笑みを浮かべてみせる。
『貴様、一体どんな手を…』
『僕はただ、僕の思う通りに行動しているだけだ。
御陵衛士なんぞ作って新撰組を脱退し、挙げ句の果てに近藤さんを殺そうなんて計画を立てるお前は、僕にとって邪魔なんだよ』