幕末を駆けた桜
『……何故、僕がここに』
周りを見渡せば、土方の部屋に何時ものように座る組長方。
それと、鴨さんと新見さん。
その中に、唯の平隊士である僕が居るのだから、浮いて居る感が物凄い。
なんにせよ、このような会議の場では皆何時ものようなふざけた表情ではなく、真剣な顔立ちなのだ。
威圧感で、息をするのにも躊躇する。
『お前の意見も取り入れるべきだと、各組長…芹沢さん、新見、近藤さん、俺の案だ』
長々しく言ったけど、つまりは全員一致だというわけか。
『それで、お前の意見を聞きたいのだが』
このままでは拉致があかないと、土方達は僕に助けを求めたらしい。
どうやら、屯所を西本願寺に移したい土方等前川邸と。
神のいる場で殺しはできないから、もう少し広い場所で…と不動堂村をおす鴨さん達に加えて山南さんとに意見が分かれているらしい。
……正直、僕としては屯所の場所なんてどうでもいいんだが。
今まで通り皆仲良くやって行けるのならそれが1番だ。
まぁ、どうせ西本願寺に移したとしても結局は不動堂村に移るのだから、面倒な引っ越し作業を減らす意味でも不動堂村の方がいいのか?
あ、違う。
どうせなら、もっと広くて味方が集められる場がいい。
この際、当たって砕けろだ。
僕の中の考えがまとまり、土方を見据える。
そして、目を閉じ息を大きく吸って、ゆっくりと目を開けた。
『僕は…正直、どっちでも良いんだが。
強いていうのなら。
長州に、手を借りるのはどうだろうか』