幕末を駆けた桜



その僕の意見に、土方の部屋が一気に静まり返った。


……やっぱりこの意見はまずかったか。
だが、言ってしまった手前もう引き返せない。


『それは…本気で言っているのか?』


眉間によっているシワをさらに深めて聞いてきた土方から一瞬目をそらす。


『本気も何も、僕がこの場でこんな笑えない冗談を言うわけないだろ』



どうして言ってしまったのか。

平和的に、不動堂村とでも言っておけばよかったのに。


この立場では、土方達どころか鴨さんでさえ味方ではなくなってしまう。




『……お前は、長州の奴らと仲良くし過ぎじゃないか?

一月の間で何を吹き込まれたかは知らんが、薩長同盟の手助けまでしやがって』



『それは、今関係ないだろ?』


『関係ない、だと?
事あるごとに坂本だとか長州だとか言いやがって』



なぜかいつも以上に突っかかって来る土方を不思議に思いながらも、土方の言葉を言い返す。


何が癪に触った?

いつものことだろう、僕が変な事を言い出すのは。

いつもは見過ごしてくれるのに、今回はどうしてここまで怒っている?




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