幕末を駆けた桜
『大体な、自分は新撰組の味方です見たいな顔しながら、堂々と話すな』
僕が困惑していることに気づかず、そう続けていく土方に首を傾げる。
組長方は、そんな僕と土方を見比べて何処か焦ったように互いに視線を交じり合わせていた。
『ひじ、かた…?
何でそこまで怒っ…』
怒っているのか。そう続けようとした僕の言葉は、土方の殺気によって止まった。
いや、口が動かなくなった。
今までに感じたことのない、敵意しか感じることのできない殺気を土方は、今僕に向けてくる。
『女の癖に、長州等と手を組めだとか、一々俺に指図するんじゃねえよ』
土方のその言葉に、その場の空気が一気に固まったのを感じた。
女の癖に…って事は、それは僕に向けられた言葉だよな?
それに、今回僕の意見を聞きたいと言って来たのはそっちだろう。
何故僕が怒られなければならない?
そんな事を、言われなければならない?
そう思うと、さっきまで怖かったはずの土方の殺気を気を感じる事なく、土方を睨みつける。