幕末を駆けた桜
どうやら、僕は少し出しゃばり過ぎたらしい。
言った後、気まずそうに目線をそらした土方を見て、小さく溜息をつく。
結局…男というものは皆こうだから嫌なんだよ。
都合のいい時にだけ女扱い。
……ふざけるんじゃない。
悪いが、ここで簡単に許すほど、僕は出来た人間じゃないんだよ。
周りが僕の顔を伺う様に向けてくる視線にも。
目を合わせようとしない土方にも。
……女に生まれて来た僕自身にも、イライラする。
『土方達は、どう説得しても僕の意見に耳を傾けようとしない。理解するだけだ。
きっと、これから先も何となく聞き流していくつもりなんだろ?
僕は、新撰組を失いたくない。
皆が死ぬのを見たくないんだ。
だけど、土方や近藤さんは幕府についていくことを辞めようとしない』
正直最近、説得できる自信がなくなってきて悩んでいたのに。
その後のこれだ。
女、だからだめなのか?
『……近藤さん』
少し、頭を冷やす必要がありそうだと判断し、言いたいだけ言ってその場からゆっくり立ち上がって近藤さんの名前を呼ぶ。