幕末を駆けた桜


だからこそ、近藤さんの意見を覆すことは新撰組の意見を覆すこととほぼ等しくなる。

その1番近道である土方に言い聞かせれば、なんとかなるかもしれないな。


少しの間考え込み、口元にうっすらと笑みを浮かべる。
土方のお陰で、糸口が見えた。


『……長くなるから、よく聞けよ』



僕の話の間に口を挟まず、最後まで相槌を打ちながら聞いた土方は、聞き終えた後盛大にため息を吐いた。


それにしても、土方はなぜいきなり僕の話を聞きに来たのか。
それが気になり、眉間にしわを寄せてなにやら考え事をしていた土方に声をかける。



『お前が部屋に戻った後、芹沢さんが、お前の案も良いんじゃないかと近藤さんに言ったんだ』



それを聞いて、近藤さんが芹沢さんと話し込んで。

俺に、お前の話を聞いてこいと言ったと土方は漏らした。


つまりは、鴨さんが手助けしてくれたわけだ。
流石だな。あの人は、余程新撰組が大切なんだろう。



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