幕末を駆けた桜
『本気で幕府の下から離れないと、近藤さんを上にするどころか生かすことすら出来なさそうだな』
『だから、初めからそう言っている』
やっと理解したらしい石頭の土方が頷きながら呟いた言葉に思わず突っ込みを入れる。
いや、別に仕方ないよな?
今のは絶対に僕は悪くない。
『あ、そう言えば、桂達が土方達と話したいとか言っていたような気がするな』
僕の突っ込みに反応することを忘れるくらい考えこんでいた土方が、僕の言葉に反応して顔を上げる。
……おおっと。なかなか良い食いつき具合じゃないか。
『興味ある?』
『……その話、詳しく聞かせろ』
良い方向に向かいそうな予感がして、うっすらと口元に笑みを浮かべながら土方に桂達のことを話した。
……良い具合に、近藤さんを丸め込んで桂達と同盟なんて組めたら最高だ。
そこまで行けば、もう僕がすることはない。
後は、近藤さんや土方、桂や坂本に全て任せて僕は沖田達と剣を振るうだけだ。