幕末を駆けた桜
『……やってみろ。
一応試作段階だ。
使いにくい点があったら言ってくれ』
『ああ』
僕から拳銃を受け取った京が、的に向かって狙いを定める。
……撃ち方も覚えさせないといけない…な、これ。
こんなに狙ってたらその間に切られてあの世逝きだろう。
僕がそう思ったのと同時に、京が引き金を引いた。
その弾は真っ直ぐ的のど真ん中に命中し、何を思ったが、京は驚いたように拳銃を見つめる。
『どうかしたか、京』
『真白……これ、凄く使いやすい…‼︎
威力も、性能も速さも段違いだ!』
目を輝かせて僕にそう言った京は、本当に驚いた様に僕に拳銃を渡した。
……そんなに気に入ったのなら、貰えばいいのに。
って、そんなこと簡単に出来るわけないから返したのか。
それじゃあ、これは京に使ってもらおう。
僕様のはまた別にあるし。
実はいつも拳銃(と言っても今京が持っているものより幾分か古い型)持っている坂本用だったとか、そんな事は忘れる。
『そんなにか?
感想有難う。それじゃあ、それは明日の戦でお前が使ってくれ』
『えっ、良いのか?』
『ああ。僕用は他にあるし。
試し撃ちしてくれた礼だ』