幕末を駆けた桜
戦〜日本の夜明けと旗揚げまで〜
『真白君、準備はいい?』
『ああ。装備は完璧だ』
1、2年前とは全く違った装備を身に纏い、軍服を身につけて馬にまたがる。
新撰組にいた時と同じ様に、僕は沖田の隊に入る事にした。
あの時と違うのは、何故かこの隊に坂本と土方の姿が見えることくらいだ。
……おかしいだろ。
お前ら大将は本陣で中将達の指示をする担当のはずなのに、何故前線にいる。
あれほど僕に出るなと言い続けていたくせに、自分らは安安と出て来やがって。
『そんな顔するんじゃねえよ。
楽しみだろ? 久しぶりの戦』
ニヤニヤと口角を上げながら、きっとふて腐れたような顔をしているであろう僕に向かってそう言ってきた坂本を睨みつける。
どこまでもムカつく奴だ。
一体久しぶりなのは誰のせいだと思っているのか。
『……まぁ、いい。
沖田。今日はお前の指示に従う』
『初めからそのつもりだけどね。
取り敢えず、いつも僕が殿勤めてるから、一緒にどう?』
ニヤリと口角を上げて刀を抜いた沖田に、沖田が刀なら…と、拳銃と、驚かすために密かに用意していたライフル銃を構える。
やはりライフル銃のことは漏れていなかったのか、沖田だけでなく坂本も、少し離れたところで見ていた土方も驚いたように見ていた。
まぁ、土方については、どっからそんな金が…なんて頭を抱えてるけど。