幕末を駆けた桜


『そうだったな、俺にも名前を教えてくれんか』


思い出したように言った近藤勇の言葉に頷き、名前だけ言って自己紹介を終える。


別に、言うことなんて特にないし。
そもそも、未来からきたなんて言ったら、土方歳三に睨み殺されそうだ。



『真白君は、隊士になっても良いか?』



僕を見てそう聞いてきた近藤勇を見て、ばれないように息をはく。


良くないに決まっているだろう。

僕は既に、倒幕派である坂本龍馬に会っているんだ。
今更、佐幕派の新撰組に入って、坂本龍馬に会ってみろ。


それこそ、歴史上には無い程の恐ろしい事が起こる気がしてならない。



『……無理か?』


……誰か。
近藤勇にお願いされて、断れる歴史好きの現代人がいたら教えて欲しい。


少なからず、僕には無理。
土方歳三なら断るがな。


『……近藤勇…さんのお願いなら』


そう言って頭を下げた私を見て、近藤勇が声を上げて笑った。



『本人もそう言ってるんだし、良いだろう? 歳』


『近藤さん…まぁ、良い。
真白と言ったか⁇ お前、剣は握れるか』



呆れたようにため息をついた後、渋々とでも言うように承諾した土方歳三がそんなことをいう。


剣は握ったこと無いが、まぁ竹刀なら何年も握っている。


剣道始めたのは3歳ぐらいで、今で16だから、ちょうど13年ぐらい…か。




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