幕末を駆けた桜
『剣は無い。竹刀なら、自信はある』
僕の言葉を聞いて頷いた土方歳三は、ついてこいと言って近藤勇の部屋から出る。
『今日からよろしく頼むよ、真白君…あ、ちゃんの方が良いかい?』
『近藤さんの好きなように呼んでくれ』
『じゃあ、そうさせてもらうよ』
近藤さんの言葉に一礼を返し、土方歳三の後に続いて何処かへと向かう。
まぁ、僕もバカじゃない。
手合わせをすると言っていたのだから、大方道場ぐらいであろうが。
『入れ』
案の定、土方歳三の足を止めた先の建物の中から、男達の叫び声と久しぶりに聞いた竹刀の交える音が聞こえてくる。
…ビンゴ。
心の中で軽くガッツポーズをして、今度は沖田総司に促されて、音を立てないように道場の中へと入る。