幕末を駆けた桜
周りは、ほとんどの者が素振りの腕を止めいきなり入ってきた僕を怪しげに見ては、近くの者とコソコソと話し始めた。
『気にしなくてもいいよ。
久しぶりの新隊士だから、珍しいんだと思う』
『……そうか』
沖田総司の言葉に軽く頷いてみせながら、肩にかけていたケースから竹刀を取り出す。
『君、竹刀常備してるんだ⁇』
『……まぁ、真剣は持てないからな』
平成で真剣なんて持ったら、それそこ犯罪だし、即刑務所行きだろうし。
『相手は僕がしますから、土方さん審判お願いします』
『……俺かよ…』
文句を言いながらも素直に審判の位置についた土方歳三を見て、竹刀を構える。
同じように、僕の前で竹刀を構えた沖田総司を見て、小さく息をはいた。
『____________初めッ』