幕末を駆けた桜
『あの構えって…‼︎』
沖田総司の構えで、周りがざわつき始めたのを見て、僕も同じ様な構えをとる。
突き…と言うのは、繰り出せば隙のできる技であり、死突きなどとも呼ばれるが、この構えはそんなものじゃない。
この時代では、沖田総司しか成し得る事のない、沖田総司の絶対的必殺技である三段突き。
この技は、天然理心流を学ぶ身として、お父さんから徹底的に叩き込まれた。
僕が同じ構えをとったせいで、周りが一層ざわつき始めるが、それを無視する。
周りなど、関係ない。
今は、目の前の敵と闘うだけだ。
先に踏み出したのは…沖田総司。
一歩の間に繰り出される三段の突きを綺麗に交わし、同じ様に三段突きをお見舞いした。
カランッ…と、道場内に、沖田総司の竹刀が落ちる音が響いた。
『……し、勝者…神楽真白…‼︎』
まるで、信じられないとでもいう様な口調でそういった土方歳三の言葉を聞き、竹刀を傷つけない様にケースにしまう。