幕末を駆けた桜
『……何故』
未だに何があったのかわからないという様な表情を浮かべた沖田総司が、落ちていた竹刀を拾って僕を見つめる。
『何故、同じ構えができたんです⁇』
あの技は、僕しかなし得なかったのに。
そう訴える目を見て、薄く口角を上げる。
『僕も、天然理心流を習ってたから』
お父さんが近藤勇率いる試衛館からの新選組メンバーが好きだったんだよね。
だから自然と天然理心流を習う事になってたし。
『……そう、ですか。
またやってくれますか?』
『当たり前だろ。僕も、久しぶりに強い人とやれて楽しかった』
ふっと口角を上げてそう言うと、どこか顔を赤らめた沖田総司が速足で土方歳三の所へと向かった。
『お前、強いんだな』
『……どーも』
素っ気なくしてるけど。
土方歳三に褒められるって結構なことだと思う。
『やはり強かったか! 俺の目に間違いはなかったな?』
『近藤勇…さん』