幕末を駆けた桜
坂本龍馬



『真白君、甘味屋さん行くよー!』


『……何行ってるんですか沖田さん。
今、巡察中ですけど』



そう…僕はその後沖田総司が組長をする1番組に配属された。



他の隊士達は僕が女であることを知っている上で男として扱ってくれる。



あの後、土方歳三からは土方さんと。
沖田総司からは総司と。


そう呼べと言われたので、土方さんはそのまま呼んで沖田総司は沖田さんと呼ぶことにした。




『あと帰るだけだし良いでしょー』



『……土方さんに怒られますよ』



『土方さんの鬼の顔も、甘味に比べたら全然重く無いからいいの』




駄々をこねる沖田さんに軽くため息をついて、1番組と同行して巡察を行なっていた3番組組長の斎藤さんに目配せをする。



なんだかんだ言って、ぼくが今、壬生浪士組の中で1番仲がいいのは沖田さんと斎藤さんだし。



多分、それを知っていて土方さんがわざとぼくの初巡察日に3番組をつけてくれたんだと思う。



僕の視線を受け取った斎藤さんは、呆れたように少し口角を上げて、軽く首を縦に振った。



……行ってもいいということか。




『分かりました。沖田さんのオススメのお店、連れてってくれますか?』




僕の言葉に目を輝かせた沖田さんは、元気よく頷いて斎藤くんに1番組みを任せてから僕の腕を引いた。




『少し遠いけど、美味しい店があるんだ』




『そうなんですか』



甘味のこととなると少し子供っぽくなる沖田さんだけど、楽しそうだから良しとする。



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