幕末を駆けた桜
バレないように深呼吸をして呼吸に落ち着きを取り戻す。
『沖田さん、坂本龍馬を連れて行って何かするんですか?』
万が一坂本が見つかって…それが僕だったら逃がせるけど。
屯所に連れて行ったとして、拷問されるとか、殺されるとかされても困る。
『そこら辺は土方さんが決めるんじゃないかな。
僕はそこまで知らないよ』
多分坂本も耳を傾けていたのだろう、隣から落胆のため息が聞こえた。
『特徴とか何かわかっていますか?』
『特には分かってないよ。連発銃を持ってるって聞いたけど』
……拳銃持ってるのはバレてるのか。
隣で金属の擦れる音がしたから、今の話を聞いた坂本が拳銃を隠したんだろう。
と言うより、こいついつまでここにいるんだよ。
危ないんだから、早く店から出ていけ。
いくら顔がバレていないからといって、危機感がなさすぎる。
こんな奴が外交の天才とか、考えたくもない。