幕末を駆けた桜
『沖田さん真白さん、お待たせしました』
お茶を持って来てくれた女の子が、そう言って色とりどりの大量の団子と5杯ほどの餡蜜を持って来た。
……多い。
今日頼んだやつは、確かみたらし団子10本。
と言うことは、いつものやつで色とりどりの団子と5杯ほどの餡蜜を食べてるってことか?
『俺もあのくらい食ってみてえな』
やっと聞き取れるくらいの小さい声でそう言った坂本を無視して、みたらし団子を一本頬張った。
『ん……美味しいですね』
久しぶりに食べた甘いものに、思わず頰が緩む。
現代…未来でも、みたらし団子は特に好きだった。
さすがにこの時代の団子も未来に負けず劣らず美味しい。
『沖田さん?』
たくさんの甘味を眺めたまま固まっていた沖田さんを不思議に思って声をかける。
僕の言葉に顔を上げた沖田さんは、何を思ったのか、坂本の方を向いた。
もしかして……バレた⁉︎
僕も坂本も、沖田さんの次の行動に警戒する。
待て、ここで沖田さんを攻撃したら明らかに僕は新撰組の敵となる。
だが、ここで坂本を死なす訳にはいかない。
『……よければ、食べませんか一緒に』
三色団子を坂本に差し出しながらそう言った沖田さんに、僕も坂本も驚きで固まった。
『……いや、結構だ』
僕よりも先に我に帰ったらしい坂本が、そう言って断る。