幕末を駆けた桜
賢明な判断だ。
沖田さんが何を考えているかわからないのに、一緒にいるのは危険だ。
『甘味好きの男性なんて中々出会え無いんですよね。
それに、1人より、一緒に食べたほうが絶対美味しいですよ』
……沖田さんは、なんで坂本が甘党だって思ったんだ。
そんな僕の心も知らず、坂本を見て笑った沖田さんに連れられて坂本が隣に座った。
『お前、壬生の狼の仲間になったのか?』
『……成り行きだ』
僕の隣に座った坂本は、沖田さんが追加の注文をしに行った間に、僕にそう聞いた。
『あの後、見つかったのか』
あの後…と言えば、初めて会った時の後のことだろう。
『……無視したら斬るとか言ったけど、今回はお前に感謝する』
隠した拳銃を抑え、坂本がそう言った。
『……さっきの沖田さんの言動には、ヒヤヒヤさせられた』
『ああ…あれか。あれは俺も驚いた』