幕末を駆けた桜
そこまで話して、沖田さんが戻ってくるのが見えたので口を閉ざした。
『じゃあ、食べましょう!』
坂本がいるからなのか、敬語でそう言った沖田さんに頷いて、三色団子を頬張る。
僕に続いて、坂本も餡蜜をもらっていた。
……なんだよこの状況は。
佐幕派の壬生浪士組と、あの坂本龍馬が一緒に甘味食べてるなんて。
沖田さんが注文したらしい、団子やらお萩やら桜餅やらが運ばれてきた。
『……沖田さん、こんなに払えるんですか?』
目の前で凄い勢いで団子を食べていく沖田さんにそう声をかける。
心配になったのだ。
何処からこの量の料金を払えるほどのお金が出てくるのか。
僕の言葉に一瞬キョトンとした表情を浮かべた沖田さんは、我に返って団子に手を伸ばす。
『何言ってるの真白君。土方さんのお金盗ってきたに決まってるでしょ』
『そうなんですか』
あまりに普通の事のように言った沖田さんに、思わず乗せられて頷いてしまった。