幕末を駆けた桜




『……よく、分かったな』




暫くの沈黙の間、沖田さんの目を見た坂本は、諦めるように溜息をついてそう言った。



その光景に、思わず僕も溜息をついた。




『やはり…それで、真白君。
君は、彼が坂本龍馬だと言うことを知っていましたね?』



先程まで美味しそうに甘味を頬張っていた沖田さんとは違って。

1番組組長の表情を浮かべた沖田さんを見て、小さく息を呑んだ。



『……どうしてそう思うんですか?』




声が、震えているのを感じた。

まるで、沖田さんに逆らってはいけないと全身で訴えかけられているような感覚。



言ってはいけないのに、どうしても体に逆らえない口が、勝手に動いてしまう。




『先程、僕が注文をしている時の会話が聞こえてきたからです。


それで…あなた方2人が出会った経緯、詳しくお聞きします』



その言葉で、やはり坂本を誘ったのは逃さないためだったのだと知る。


きっと、初めから少し怪しんでいたのだろう。
店に入ってきた時、坂本は腰に拳銃を携帯していたんだから。



この時代、ましてや京の町で拳銃を携帯してる奴なんてそうそう居ない。



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