幕末を駆けた桜




『……お手上げ。

壬生の狼、この女は関係ない。
お前の仕事は、俺を屯所とやらに連れていくことだろ??』



『……坂本⁉︎』




両手を上げて降参の意を示した坂本の言葉に反論する。


まるで、1人で拷問やら何やらを受けると言うような言葉だ。



『……そうですが、真白君にも話がありますしね。


それに、あなたがなぜ彼を…いえ、彼女が女だと知っているのかについてもお聞きしたいです』



その沖田さんの言葉で、先ほどの坂本の言葉が失言であったことに気づかされる。


……僕のこと、この女って言ったよな坂本の奴。




これは諦めて全て話すしかない…よな。



『沖田さんと初めて出会った時、僕は坂本と会いました』



正直に、沖田さんの目を見て偽りのないことを伝えるためにゆっくりと言葉を発する。



『逃げて居た僕を匿ってくれたのが坂本だったんです。
会ったのは、その日だけで今日が2度目です』



あの日から数回しか屯所から外に出ていない。


そもそも、その外に出る日は必ず沖田さんや斎藤さん。

他に、最近仲良くなった8番組の藤堂さんや2番組の永倉さん、10番組の原田さんが一緒にいた。




『……分かりました。

何にせよ、真白君は坂本龍馬の事を知らなかった訳ですからね』




敬語を崩さない沖田さんに、思わず体に力が入る。


隣の坂本は、それを感じ取ったのか、バレないようにそっと僕の背中を撫でた。



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