幕末を駆けた桜
芹沢鴨
その日の屯所はとにかく騒がしかった。
理由も分からず、1番組組長助勤…沖田さんの右腕的存在である城山さんと手合わせしていた。
いつもなら手合わせする相手は決まって沖田さんなのだが、今日は組長達全員が慌ただしく集まって朝から会議に明け暮れていた。
一通り手合わせを終えた僕は、城山さんと一緒に井戸に水を汲みに行く。
『城山さん、今日は何があるんですか?』
井戸に腰掛けた城山さんの隣に座り、そう聞いて水を喉に流し込んだ。
『真白君は来たばかりだから分からないか。
壬生浪士組は今、2つの派に別れてるんだ』
…2つの派。
今日のこと騒ぎを聞いてその言葉が出てくると言うことは、近々此処に芹沢鴨が来るということか…?
『1つは僕達近藤一派。
近藤局長率いる佐幕派。
もう1つは、芹沢一派。
芹沢局長率いる尊王攘夷派』
やっぱり…芹沢鴨は尊王攘夷派なのか。
僕としては、ぜひとも仲良くしておきたい人物ではあるが。
確か、歴史上では暗殺されたと記されていた。
一部の資料では、近藤一派が会津藩からの指令を受けて暗殺したとあるが。