幕末を駆けた桜
『実は、此処に来たのは今日が初めてで。
日付感覚も、少しずれて来てるんです。
よければ、此処の名と年号を教えてくれませんか?』
『……此処は京。
今は、文久3年4月24日どす』
そう言ったら僕に、少し驚きながらも可愛らしい声で答えてくれたお姉さんの頭を撫でて、お礼を口にする。
……僕は、自分が女ったらしだとは思わない。
紳士……とまではいかないが、フェミニストといったところだ。
女の子が好きなわけじゃないけど、男が好きなわけじゃない。
どちらかといえば、男は嫌いだ。
女の子は、甘い匂いがするし可愛いし癒されるし。
もはや、男の存在にメリットなど存在しないと言い切れる自信もある。
『……それにしても、文久3年の京か』
僕の記憶が正しければ……いや、100%。
文久3年3月10日に、会津藩のお預かりとなった近藤勇ら浪士24名が壬生浪士組と名乗り出たはずだ。