俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
名残惜しいけど午後から外回りだ。
そろそろ行かないと。
杏を膝から下ろして椅子に座らせた。
頭を抱き寄せて「チュッ」と、リップ音を鳴らせて髪に甘いキスを落とす。
少し怒り気味だった杏も
「二人でお昼も取れなかったし、杏は男に誘われてるしさ、俺のだって確認させてよ」
と拗ねて甘えれば「もうっ、」と渋々許してくれた。
くくっ、杏は俺をそうやって甘やかすから調子に乗るんだよ。
俺が。
普段クールなくせに、二人になるとなんだかんだと甘いんだよな。
本当、可愛すぎるよな。
俺、最近可愛いしか出てこない。
ボキャブラリーが貧困すぎる。
名残惜しいけど、
すっげぇ名残惜し過ぎるけど!
近い未来、杏をまるごと俺のものにするためには仕事を蔑ろには出来ないわけで。
親の会社を継ぐから、安泰だ。
なんて甘えた根性で養うとかありえねぇだろ。
俺、が。
杏、を。
守れるように。
午後からもお仕事頑張ります。
「今日、遅くなるけど家行くから」
先に行くわ、と会議室を出る前に思い付いてそう杏に囁けばポッ、っと頬が赤く染まる。
それを返事と見なして今度こそ部屋を出た。
華さんや加藤に、田口に邪魔された昼休みだったけど、最後に杏と居れたしいい昼休みだったな。