俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
んなっ、おいっ!
無防備にも程があるだろう!!
「おい、何だよ。部屋間違えてねぇか?」
突然入ってきた俺に怪訝な声を出す合コン相手の男たち。
ふんっ、まぁまぁじゃねぇの?
とりあえず、杏の友達の手前下手に出るか。
「えっと、迎えに来たんだ。彼女が世話になったみたいで」
そう言って「杏、」と、声をかける。
きっと眠たくなってきているであろう杏はぼんやりと視線をこちらに向けて、暫く俺の顔を見つめたあとふわりと笑った。
その破壊力抜群の微笑みは多少の免疫力を付けた俺でもくらっときたのに、初めての奴なんかは石になったかのように固まってしまう。
あーぁ、だろうな。
酒も入ってるから殺傷力抜群だしな。
周りを見渡して、呆然と杏に釘付けになっている奴等に苦笑していると、トンっ!と体にあたる小さな振動が。
杏が友達から離れ、俺の腕に絡まっていた。
「恭一君、ありがとうございます」
そう言って頭を擦り寄せてくる。
あーもう本当可愛い。
ここが人前であったりとか、外であったりとか、全部忘れて貪りつきたい気分にさせてくる。
「うん、お待たせ。帰ろうか?」
「はい!」
そう言いながらも甘えるようにすり寄らせていた頭を上げて嬉しそうに笑った。
あーほんとうにもう!
酒を飲むとこうやって無防備な姿や笑顔を振り撒いちゃうから、俺のいないところでは飲ませられないんだよな。