俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
杏がもたれ掛かったいた友人であろう女の子に声をかけ、今後の事も含めて引きとらせてもらう旨を伝えた。
「杏が迷惑かけちゃったかな、ごめんね、酔っぱらってるみたいだし、このまま帰らせて貰うね。
後、コンパとか……彼女に出て欲しくないから今度から誘わないでくれないかな?あっ、でも普通に杏とご飯食べるとかはいつでも誘って上げて、迎えに行くからさ」
じゃあ、と部屋を出ようとすると呆然としていた友達や男たちが我に返ったように動きだす。
「えっ?本当に?…………王子?」
「は?王子?何?杏ちゃんの彼氏?」
「宮学の?でもあいつって……」
うーん。
想像通りの反応とはいえ面倒臭いな。
杏も寝かかってるし、さっさと終わらすか。
腕に絡まったまましなだれかかってくる杏の肩を抱き胸に抱き寄せた。
「ははっ、学生時代のそんな呼び方恥ずかしいな。でも、今は杏だけだしこの先も手放す気なんてないから、お友達も安心して?」
「えっ、でも……本当に?」
信じていいのか不安げに聞いてくる友達。
まぁ昔の黒歴史が俺の信用を無くしているんだろうけど。
「うん、本当。だから、僕の彼女は貰っていくね」
「はっ、はい!」
杏やキヨに言わせれば、胡散臭いなんて非難されるこの笑顔もまだまだ効力はありそうだ。
あと一押し。
と、ばかりに杏を子供のように縦に抱き抱え杏の顔を俺の肩にもたれかけさせた。
頭を優しく数回叩き、「さっ、帰るよ」と声をかけると、杏も「はい!」とクスクス笑いながら腕を首に回して抱きついてくる。
俺達の甘い空気に野郎共にも有無を言えず忌々しそうに道を譲ってくれた。
こんなもんでいいか。
店を出て、車まで歩いているうちに規則正しい寝息が俺の首もとを擽る。
あー本当に勘弁してほしい。
なんの拷問なんだよ。
小悪魔ってこーゆう奴を言うんだ絶対。
「起きたら覚えてろよ」
【完】