俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
ハッピーバースデー
「恭一君、お誕生日おめでとうございます!」
俺の渡した合鍵を初めて使って、杏が誕生日を祝ってくれた。
たまたま金曜日だった誕生日。
「その日、会えませんか?」
そんな風に可愛くおねだりされるなんて、
誕生日サイコー!
「あのさ?お願いがあるんだけど。そんなに早く帰れないかもしれないから、家で待っててくれたら嬉しい」
そうお願いすると、ほんのりと笑みを浮かべながら嬉しそうに頷いてくれた。
幸せだ。
杏の笑顔1つでこんなにも充実した気持ちになれる。
早く帰りたくても急な接待が入り気付けば時刻は22時を差していた。
ヤバイ。
遅くなるとは言ってあったけど、杏に早く会いたくて。
『ごめん!遅くなった。今から電車乗るから』
そうメッセージを送ると
『お疲れさま!気を付けて帰ってきてね』
なんて可愛すぎる返信が。
自然とにやける顔を自覚して、早く君の待つあの部屋へ。
何だろう。
胸がドキドキしてたまらない。
部屋のドアの前で深呼吸。
鍵も持ってるし、そのまま入ればいいはずなのに。
あえてインターホンを鳴らしてみた。
ドアの向こうから『ピンポーン』と小さく響く音を確認して暫くするとカチャリと開く鍵の音と共に開かれたドア。