俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
ビクリと肩をあげて、一瞬動きが止まる。
鏡越しに杏を見れば、悲しそうに眉を寄せて。
あっ、と思ったときには杏はニコリと笑っていた。
「……そう、ですね。似合いませんよね。め、目も痛かったし、やっぱり今日から眼鏡にします。コンタクトなんて柄じゃありませんしっ、」
「やっ、ちがっ、」
「か、髪の毛も又すぐに伸びますから!」
「杏!」
「恭一君。時間。もう出ないといけない時間ですよ!」
「……チッ、」
思わず舌打ちすれば、杏が肩を跳ね上げた。
「杏、ごめん。違うから、聞いて」
「うん。でも、本当に時間だから」
腕時計を見て、再び舌打ちが出そうになるのを必死に堪えた。
予定から数分過ぎてるし。